米国での税務上の居住者・非居住者

皆さん、こんにちは。今日は、米国の所得税の申告でとても重要な、「居住者vs.非居住者」についてお話しいたします。

米国の所得税法上の「居住者・非居住者」の違い

アメリカ合衆国における所得税法上の居住者と非居住者の判断は、税金の課税対象や義務に直結する重要な基準です。居住者と非居住者では米国側の課税対象が大きく異なります。

  • 居住者: 世界中で得た所得が米国での課税対象となり、全ての所得源が対象となります。個人所得税の申告書はForm1040になります。
  • 非居住者: 米国で得た所得にのみ課税され、米国での給与や事業に起因する所得が対象となります。個人所得税の申告書はForm1040NRになります。

居住者vs. 非居住者の判断基準

居住者と非居住者の判断は、「グリーンカードテスト」または「実質的な滞在テスト」にて行い、いずれかを満たした場合に、居住者とみなされます。

永住権(グリーンカード)テスト:
永住権(グリーンカード)保持者は、所得税法上、常にResident Alien (居住外国人) として米国市民と同等の扱いを受けます。

実質的滞在テスト:
税務申告の年における実質的滞在(Substantial Presence)テストを満たせば、その年の税務上の居住者となります。例えば、2022年の税務申告の場合、

1.2022年中に31日間米国に滞在し、かつ
2.2022年、2021年、2020年を含む3年間のうち、
 a.2022年に滞在していた全日数、
 b.2021年に滞在していた日数の1/3、
 c.2020年に滞在していた日数の1/6の合計183日間、
少なくとも米国に物理的に滞在した場合居住者となります。

上記のいずれも満たさない場合は、非居住者と見なされます。非居住者の場合、所得税の課税の対象はアメリカで得た所得に限られます。通常、非居住者はアメリカで働いて得た給与やビジネスに起因する所得に対して税金を支払う必要があります。

二重課税の回避策

日本の居住者の場合、上記の米国で得た所得も日本の課税対象となります。そうなると、同じ所得に対して、米国でも日本でも納税することになり、二重課税となってしまいます。しかし、日本とアメリカ合衆国は租税条約を締結しているため、外国税額控除という形で、アメリカで納税した所得税額を日本の税額から控除することが可能です。

まとめ

居住者と非居住者では、米国の所得税の申告において大きく対象範囲が異なります。
居住者は、全世界所得が申告の対象となるのに対して、非居住者はアメリカ合衆国源泉の所得のみが申告対象となります。申告の際は、まず居住者か、非居住者かを正しく判断することが重要となります。

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